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2012年 3月31日(土) 現代版「おば捨て山」?―常識は疑ってみよう―

 山中を歩いていると、低階層のマンション風の建物をよく見かける。マンションにしては、人の気配が感じられない。異様に静かである。近付いてみると、多くの場合、その建物は老人施設であった。土地代が安くてすむから、こんな所に建てられたのであろう。現代版の「おば捨て山」である。
 今までは「親の老後は子供がそばで面倒をみるのが当たり前。親を施設に入れるのは、親を粗末に扱っていることになり、恥ずかしいことである。」と見られていた。ところが、最近ではそうではない。医療技術の発達もあって、親が長生きをするので、介護する子供の方も高齢者になって、いわゆる「老々介護」というケースが多くなってきた。世間体を考えて頑張れば、共倒れになりかねない。だから、親の介護を「施設」にまかせても、おかしくない。親の介護をその子供個人が負担するのではなく、社会全体で負担する。そんな考えが定着してきたように思う。社会の状況が変化すれば、「常識」の中身も変化する。だから、今「常識」と言われていることでも、それが本来のあるべき姿かどうか、疑ってみることが必要である。